深海


纏わりつく喧騒を引き剥がし
今孤独の海に落ちていく

誰も届かない深淵へ
骨と肉の間が疼く

たまに思い出すような
他人の笑い声が
金切り声に変わったりして
世の中とのチューニングが合わないことに慌てて怖くなる瞬間がある

差し出された手が海藻のように揺らめき蠢いているようで信じられない

光と泡が弾けきって
ここは真っ暗だ

私は私の顔をゆっくりとなぞり
自分の顔を確認する

月が満ち欠けていく
失った部分が影になっただけでも
それを追いかければ
身体を失うだろう

誰も踏み入ることが許されない領域

わたしはわたしのもの

自分の為に涙を流せ