緋色的

1.獣から人になった人、人から人になった人

 

私という人間は、どうやら産まれながらにグロテスクな思想を押し殺し、いい人を装い人の皮を被り獣を隠して生きていた。

 

昔から人は獣から人になった人、人から人になった人がいると感じていた。

人から人になった人は人らしく生きれるが、獣から人になった人は、本能で違う種類だと勘づかれなかなか生きにくいだろう。

徳を積んだから人になったとかではない、たまたま。

それを受け入れて理解していても生きていくのが、険しい。

普通ということができなく、根本的に凶悪な欲望と純粋無垢な魂がぶつかり合い感情の衝突事故を起こしているので、すぐエンストして動けなくなる。

私は自分の感情を殺すのに慣れ過ぎていて、本来の自分をよく忘れる。

そのおかげで日常生活はとてもうまくやれているが、獣の部分がたまにうめき声をあげる。

 

お前の欲望をよく知っていると。