深海

纏わりつく喧騒を引き剥がし今孤独の海に落ちていく誰も届かない深淵へ骨と肉の間が疼くたまに思い出すような他人の笑い声が金切り声に変わったりして世の中とのチューニングが合わないことに慌てて怖くなる瞬間がある差し出された手が海藻のように揺らめき…

opacity

嘘と約束をして真偽のない口づけを 果てる先になにもなくても欲しいままに求め合い 傷つけ合うことはいけないことかい 染み出たそれが涙でも すぐにその味を忘れて欲しくなる 何度も確かめればいいよ ベッドの中を覗けば 底のない快楽がいる 綺麗な言葉なん…

燃える色

君は随分バカなんだなぁ 逆立ちしながらそういうあなたは 重力なんて知らないように 軽々と空気を弾けさせる 分子構造を肌で感じるように 夕焼けが落ちていく様を あなた越しに見るのさ 触れていないのに なんだかキスされたような気になって 俯く私は緋色に…

キルミーベイベー

電光掲示板でモールス信号を送る 言葉と裏腹でハラハラだ 君を裏切って それゆけ劣等感 切って貼っての切手で 手紙書くよ それはジョークで 閑静な住宅街の電灯でバチバチと 虫のディスコタイム飛び込めトンチンカン 春はあけぼの 僕はほのぼの 君を殺してや…

ビブラート

干からびた蜥蜴 白く粉ふくカラカラな身体に水を垂らしたら生き返りそう 取り残された心がここにはあって でも目を離した隙にそれは失われる 春の匂いを嗅いで動き出そうとする動植物の震えを感じとりながら 私は手を広げたまま落下して加速する 限られた命…

ヒーリングミー

あまりに綺麗だから触らずに大切に眺めていた花は止める間もなく散る 時間にサランラップをかけたいけれどそうもできないから1番美味しいその時に頂戴しよう 過ぎて行く時間の傷と共に キズとキスが似ているのは偶然なんかじゃないよ

何事もなかったように白々しく雪が溶けるまるで他人事だ当事者であったはずなのに自分の立場がなんだったのか忘れてしまうそれは故意に?私がどんなに雪を心配しようが勝手に溶けるから安心できるそのままで静かに冷たく私を凍えさせておくれ

フラジャイル

白い息滲む夜 あなたは暗闇にもたれかかっているどうせ誰にも理解されないと背を向けて震えているのでしょう?どうか自分が誰より不幸だというような顔で泣かないで無理に笑わなくていいあなたの魂は暖かい深呼吸で世界と共鳴ひとりだけどひとりじゃない私の…

しらばっくれたって

不必要な優しさが珈琲カップの底に沈殿している飲んだ後が地層の様に内側に残っていた無駄に弄んだ時間を強調するかのようにタバコの灰が高く積まれているそれは埃のようでもあり死んでいった自分の細胞のようだミルクを垂らしたように空は曇り太陽が色を少…

私は痛がりの不死身である

正しいことははっきりみえなくていい、必ずしも正しいカタチをしていることはなくそこにあると感じることが大切。そういうものがもしかしたら希望なんじゃないですか?星が見えるロマンチックな夜に星に願うより、星がみえない曇り空だからこそ星に願いたい…

やる気がなくてごめんね、なんてね

夜明け前に口笛人々が眠りから覚める頃に眠りにつく人集りを飛び越えて空を飛ぶ夢をわざわざみる冬の空気は口溶けがよくてほんのり苦い

難解なものだって

跳ね返る雨粒跳ね返すアスファルト向こうへ向こうに粉砕する瞬間や砕け散る旋律が私を魅了してやまないやまないのは雨だけじゃないほとばしる血潮背中がゾクゾクする複雑に編み込まれた感情と好きだった男のセーターの網目に思いを馳せ解く糸なんてといてし…

cancer

さざなみの中で淡くたえるにたえねばならぬ君はとうに名前を失ったまま言葉にならない泡を吐き両手は人を傷つける鋭利さで誰も抱きしめられぬまままっすぐにも歩けず右往左往するしかないさて君はどうやって生き抜くか起死回生と星よ光れ

暗闇

重なる黒で私を汚してその真っ黒な手で 偶然なんかで終わらせないで 真実の口づけを交わし裏切りさえも愛しき色 月が沈み暗闇が眩しいここなら底地に足を左胸に心臓を私の為の墓をあなたの為の墓碑を

ガーネット

ゴミでできた夢の島現実にあるユートピアと見えないユートピアの境目なのか緑に濁った海と色とりどりの花骨を砕いた粉があっという間に海に飲み込まれ溶けていく一匹と一人がひとつになり浮遊するクラゲのようにふわりゆらゆらとぐらぐらと照りつける夏の終…

💧

寂しさという殺人鬼優しさに溺れるナイフ

弱さ

あなたの弱さはそれだけ優しさを知ってるということ

とてちて

見渡せば静かな夜その静けさの下で一軒一軒の中身はとても騒々しい生活音とてちてと食器のとちとちや風呂場のちとちと赤ん坊のてちてちそんなとてちてとが転がってる

鳴いている

泣いても泣いてもどうすることもできないのに鳴きやまない私が力一杯いくら泣いても海程泣けないこの声にならない声は鳴き声鳴いているよ心の底からおまえに向けて

誰に

誰に頼まれず生きている勝手に生きるのだ明日も明後日も

手足を手に入れろ

悲しみさえも喰らっていけそれは好機だとどこまでも貪欲なあなたあなたがみている世界は優しさなど不要で孤独と痛みが美しく輝いているそれは人を超えた世界の姿もっと私よ強くあれ研磨されまるくなるのか鋭くなるのか私はまだ世界の片鱗さえも触れることさ…

手垢

誰のものにはならないものには勝手に祈りとか願いとか捧げてしまおうそうやって人は無垢でけして手に入らないものでさえ穢していく

白い骨

いるのにいないその身体があなたが目の前にいるのに動かないのはどうして冷たく固まってしまったのは時間でしょうかもうその名前をあなたに向けて呼ぶのも最後になりますあなたから名前を呼ばれるのこともなくなってしまいました今にもあの階段から降りてく…

空は続く

春風過ぎて纏わりつく暑さと生臭さの夏の匂ひ張り詰めた弓の様に木々は青々とその身を大きく大きく広げる下着が汗を吸いきって重くなる午後は虫の喧騒を横目に果汁の滴る水蜜桃を頬張る君のような頭でっかちの人間はプールに頭からザブリと飛び込めば良いだ…

無常な華

燃え咲かれぬまま赤い華は首からボトリとその重い蕾を落とした黒く変色したそれからはひどく甘ったるい匂いがしてその中から沸くように蟻が這い出た蝿が螺旋を描きその無常な音楽を奏でた誰もその華を見ようとはしなかった誰にも知られず土に還る華よお前は…

言の葉

言葉にすると辛いもの言葉にすると赦されるもの 言葉にしてはいけない言葉 言葉にならなかった言葉 言葉にするのを躊躇った言葉 どの言葉も心の奥に重なりいつまでも残っている 言葉は残らない 言葉は永遠